この想いを君に…
「パパ、祥太郎に会えるかな?」

あたしが歩きながら笑うと

「じゃあ、朝一にピットウォークがあるから行ってみる?」

あたしと知樹は大きく頷いた。

いつもは自分が走るから。

お客さんになった事がない。

こういう大きい大会も、関係者として参加してきたから。

何だかドキドキする。



普通のお客さんと混じって列に並ぶ。

「二人とも、よく見ておいて。
ファンの人達はね、こうやって列に並んで待って、ピットウォークに参加してるんだ。
憧れのライダーに会ってサインを頼んで握手してもらって。
それがお客さんにとって本当に大切な瞬間だから。
何があっても、嫌な顔をせずに笑って対応するんだよ」

あたしと知樹は頷く。

高そうなカメラを抱えている人。

色んなライダーのサインが入ったシャツを来ている人。

今か今かとドキドキしながら隣の人とワイワイ話をしている人。

色んな人がいた。
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