この想いを君に…
サイン会が終了するとすぐさま祥太郎は立ち上がった。

そして辺り一面を見回してから

「応援、よろしくお願いします!」

祥太郎は大きな声で挨拶をして頭を下げた。

周りから拍手が起こる。

顔を上げた祥太郎は真っすぐこちらを見つめた。

「…睦海、お前と一緒にバトルしたかったよ」

みんなその言葉で一斉にこちらを見る。

…余計な事を。

「来年はみてろー!
光さんと二人で祥太郎の上を行くから」

祥太郎は

「今年は俺の走りをよく見とけ!
まだまだお前には負けないよ」

と、鼻で笑った。

…む、ムカつく!!

「梓!」

今まで笑っていた祥太郎は真剣な眼差しを梓ちゃんに向けて

「無理するなよ」

そう言って左手を上げてピットの奥に入っていった。
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