この想いを君に…
建物の下に行くとママが泰樹と桜を連れて待っていた。

「あれ…?」

ママに近付こうとしたら後ろから声を掛けられた。

振り返ると、メイド喫茶のお客さん、アツさんとミウさんが笑って手を振っていた。

「おはようございます!」

あたしは笑って頭を下げた。

「おはよう、むっちゃん」

アツさんはそう言いながらチラッ、とパパを見る。

「ひょっとして、昔、全日本チャンピオンの門真さん?」

あたしにこっそり聞くので頷くと

「知り合い?」

「パパです」

「パパー?」

思わず、アツさんは声を上げた。

パパもママもびっくりしている。

「…ひょっとして、むっちゃんって、GP125でこの前、優勝した女の子?」

アツさんは少し興奮気味に言う。

「はい、そうです」

「えー!」

更に驚いた様子で声を上げたのはミウさん。

「むっちゃんって、免許はないって…?」

「はい、公道を走る免許はないけど、国際ライセンスを持ってます」

「そうなんだ〜!お店で着ている服の雰囲気とサーキットの姿は似ても似つかないからわからなかった!」

アツさんは嬉しそうに手を叩いた。
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