この想いを君に…

「パパ、バイトしているお店のお客さん」

あたしはアツさんとミウさんを紹介する。

「いつも娘がお世話になっております」

パパは頭を下げると慌ててアツさんとミウさんもまた頭を下げて

「いえいえ、こちらこそ！」

二人もまた、頭を下げた。

「まさかむっちゃんが門真さんの娘さんとは知りませんでした」

アツさんが続けて

「僕がレースを観はじめたのは門真さんが引退する少し前からなので、僕から見れば憧れのライダーです」

「ありがとうございます」

パパは微笑んで頭を下げた。

「じゃあ、むっちゃんもK-Racingなんだ？」

ミウさんの質問にあたしは頷いた。

「バイトも頑張るし、偉いよね〜！」

アツさんはうんうん、頷きながら言う。

「いつまでもパパに頼りっきりはダメですから」

褒められると照れ臭い。

頭を掻いていると

「今回、住吉くんが怪我で出られなかったのは残念だね」

ミウさんは少し悲しそうに笑ってあたしをじっと見つめた。

「光さんは引退を撤回して来年まで続けてくれるって言ってますから、来年、頑張ります」

ミウさんは大きく呼吸をしたかと思うと

「じゃあ、それのお手伝いをさせてくれないかしら？」