この想いを君に…
1時間走行して、交代した祥太郎はとっとと控室に入ってしまった。

ピリピリした雰囲気が伝わってくる。



「う〜ん、もう少し伸びそうなのにな」

パパが祥太郎のラップタイムを見て首を傾げた。

「…調子、悪いのかな?」

あたしが呟くと

「そうじゃないと思うよ」

ママがあたしとパパを見つめた。

「まだまだ、全然本気じゃないよ。
本気じゃない、という言い方はよくないけど。
今はまだ、力を押さえてるんじゃないかな」

ママはチラッ、と梓ちゃんを見つめて

「今回は少しの失敗も出来ないからね。
私が祥太郎くんなら。
間違いなく優勝を狙うし、最後の2時間は自分で走ると思うから」

「あ、そうだよね〜。
あいつの性格からしてそうだしね」

パパも頷いた。



そこまで祥太郎のテンションを高められる梓ちゃん。

ますます、この二人の関係が気になって仕方がなかった。
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