この想いを君に…
辺りはすっかり陽が落ちて。

暗闇がサーキットを支配しはじめていた。



残りは30分を切っている。

グランドスタンドは綺麗な色とりどりの淡い光が揺れていた。

そして、遊園地にある観覧車のライトアップが本当に綺麗でゆっくりと見回していた。



今回は出られなかったけど、来年は絶対に出たい。

目の前を通過していくライダー。

今、走っている事に嫉妬してしまう。

こんなに、レースを見ていて自分が走りたいと思った事は今まで、なかった。



ようやく、今まで寝ていたみんなが起き出し、壁際に立って最後の瞬間を待った。



10・9…カウントダウンが始まる。

そして、長かった8時間が終わり、大歓声と拍手、チアホーンの音にサーキットが包まれた。



祥太郎は一位でフィニッシュしていた。

チームの前で高々と左拳を突き上げる。
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