この想いを君に…
「1枚だけ…おばあちゃんからこっそり貰ったの」

あたしはパパとママにどうしても言えなかった。

本当のパパの写真を見せて欲しい、と。

言えば見せてくれるだろうけど。

言えない…

彩子ママの家に一人で行った時にアルバムを見せて貰った。

「おばあちゃんがね。
本当のパパのアルバムから1枚、剥がしてくれたの」

そこには制服姿の本当のパパとママが並んで写っていた。

教室で二人、振り返った所を撮られていた。

仲良さそうに笑っていて。

「生きていたら…良かったのに」

思わず口からそういう言葉が出た。

「…やっぱり、会いたいよね?」

リコは俯くあたしの頭を撫でた。

「うん、会いたかったねえ…」

会いたかったけど。

それは絶対に叶わない。
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