この想いを君に…
9時になってあたしは上がると、外で祥太郎が待っていてくれた。

「一緒に帰ろう」

あたしは頷く。



忙しい中、こうやって会いに来るのは。

きっと何か伝えたい事があるんだろうな、と思う。

家じゃ、パパやママ達がいるし。



「昨日はありがとう」

歩きながら祥太郎は言う。

「いえいえ、どういたしまして。
ホント、おめでとう」

優勝も、プロポーズを受け入れてもらった事も。

祥太郎は照れ臭そうにありがとう、と呟いた。

「まだまだ、越えなければいけない山はたくさんあるけどね」

祥太郎のキラキラ輝く目は空に広がる星達を捕らえた。

「…祥太郎なら乗り越えられるよ」

お世辞でも何でもない。

祥太郎なら絶対に乗り越えていく強さがあると思うから。

「…本当に、ありがとう」

祥太郎は、あたしを見つめて笑った。

「昨日の祥太郎は本当にカッコ良かった!
全てが完璧だったよ。
…あたしもいつか、そんな風に人を好きになりたい」

あたしは立ち止まって振り返った。
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