この想いを君に…
「なんや〜」

テーブルには光さんの両親と奏さんもいた。

こんな中でご飯を食べるのは少し緊張する。

「彼女じゃないんか」

奏さんはため息まじりに肩を落とした。

「彼女にしたら若いなあって思っててんけど。
お兄ちゃんの事やから有り得るかなって…」

「おい…。
どういう意味、それ?」

まるで漫才を見ているかのような会話に思わず笑ってしまう。

「私も病院でむっちゃんが来た時、光の彼女とばかり思ってたのに…」

お母さんがすかさず会話に入ってきた。

「門真さんの娘さんやってんもん。
さすがに光も手は出されへんわな」

「…オカン、ええ加減にしとけよ」

光さんが段々怒り始めている。

「彼氏はおらんの?」

「オカン!ホンマ、頼むからそういう質問、止めてくれる?」

とうとうお箸を置いて母親を睨む光さん。

「光さん、別に気にしてないからいいですよ」

あたしは光さんの袖を2回、引っ張った。

「いてないですよ。
まだ付き合った人なんかいてないです」

光さんのお母さんは目を輝かせて

「じゃあ、息子どう?
もう中年の域だけど…」

「あのなあ、むっちゃんだって選ぶ権利はあるからな。
俺みたいなオッサンより若い子の方がええ」

とうとう、光さんは立ち上がって自分の部屋に行ってしまった。

あたしも追いかけようとするけど、

「お兄ちゃん、ほっとき。
それよりもむっちゃんと話したい」

奏さんはそう言って笑った。
< 321 / 503 >

この作品をシェア

pagetop