この想いを君に…
食事が終わるとそのままテーブルで奏さんと話をした。

両親もそのままいて、楽しそうに話を聞いてくれた。

パパやママの事、三つ子の事、光さんや祥太郎の事。

そして、本当のパパの事。

お母さんが何か閃いたように手を叩いて席を立った。

戻ってくるなり

「柏原くん、私も覚えてるわ。
こっちの方のサーキットでレースがあった時に光がよく連れて帰ってきたから」

そう言って差し出された数冊のアルバムに。

貼られてあった写真。

たくさんの写真の中には、本当のパパの写真も今のパパの写真もあった。

「いるやつあれば持って帰り。
光なんか、アルバム見えへんから何枚かなくなってても気にせえへんよ」

お母さんはそう言ってあたしの頭を撫でてくれた。

写真の中だけど。

まさか本当のパパに、こんな所でも会えるなんて。

あたしはアルバムを最初からめくった。



光さんの小さい頃の写真は、本当に可愛い。

今も顔はどちらかというとカッコイイ部類に入ると思う。

目鼻立ちがしっかりしているし、大きな二重の目は綺麗だ。

髪の毛もストレートでサラサラ。

本人は

「癖毛やで〜」

って言うけれど、ツヤツヤのストレートにしか見えない。



「これ、確か柏原くん」

小学校低学年くらいと思う。

小さい二人がレーシングスーツに身を包んで笑っていた。

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