この想いを君に…
「じゃあ、これもあげる」

家に帰ると奏さんの部屋で洋服品評会、みたいな事をしていた。

着なくなった服や靴、鞄とか色々出して、あたしにくれるって言った。

「ありがとう〜!」

洋服なんて…年に1、2回しか買いに行かないから本当にありがたい。

メイド喫茶では、みんな可愛い洋服を着ているのにあたしはボーイッシュな洋服ばかり。

でも、とてもじゃないけどパパやママに買って、なんて言えないから。

「妹さんにも良かったらあげてな」

あたしは喜んで頷いた。

桜は体が細いけど、可愛いワンピースとかなら着られそう!



「お前…服買い過ぎやで!」

部屋に入ってきた光さんは壁にもたれて呆れながら奏さんを見つめた。

「だって〜
洋服買うくらいしか楽しみないねんもん」

そう言ってどんどん箱に服を詰める。

「お土産もここにいれて送っとくわ」

奏さんは今日行ったあちこちであたしの家族にお土産を買ってくれた。

「何から何までありがとう」

あたしが頭を下げると

「ええねん!
気にしたらあかんで」

そう言って大きい段ボール3箱に詰め終わった奏さんは郵便局に明日の朝に集荷に来るよう、電話を入れていた。
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