この想いを君に…
「ママ」

家に帰ってからキッチンで洗い物をしていたママを捕まえる。

今なら。

パパもリビングにいるし、知樹はトレーニングに行ったし、泰樹と桜はそれぞれ部屋にいる。

誰にも邪魔されないはず。

「なあに?」

ママは機嫌良さそうにあたしを見つめた。

「あたしって鈍感?」

この言葉に少し傷付いていたりする。

「…誰かに言われたの?」

ママが手を止めた。

「リコ。
彼氏が出来たって言うからキスの話になってしたの?って聞いたら『秘密』って言われたから文句言ったら『鈍感』って」

真剣な顔をして言ったらママが急に吹き出して

「むっちゃんもそういう年頃よね」

と、タオルで手を拭くとあたしの頭を撫でた。

「ここじゃなんだから」

リビングで新聞を読んでいるパパをちらっと見ると

「後で一緒にお風呂に入ろっか」

ママはそう言って微笑んだ。
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