この想いを君に…
「むっちゃん、もうええ加減、泣き止み〜
誰も責めへんから」

光が睦海を抱きしめながら背中を摩っていた。

総一がちらっとパドック通路を見ると。

野次馬。

さすがに…これ以上は睦海と光の間柄を勘繰る奴が出てくるか。

「睦海!」

総一の声で睦海は一瞬、ビクッ、とする。

「もうすぐお前の好きな祥太郎が走るぞ。
あいつの走行を見ないのか?」

睦海は必死になって目を擦りながら顔を上げた。

ようやく、泣き止む。
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