この想いを君に…
「むっちゃん、学校どうだった？」

家に帰るとママが夕飯の準備をしていた。

「んー、まだよくわかんない」

あたしはキッチンにぼんやりと立つ。

「悠斗と一緒のクラスだったよ」

あたしが笑うとママは手を止めてこちらを見た。

「そう、知っている子がいて良かったね」

ママも笑ってくれた。

あたしは違和感を感じて袖を少し引っ張る。

まだ新しい制服がどこかぎこちない。

「じゃあ、行ってくるよ」

一緒に帰ってきたパパはスーツからジーンズに上はお店のジャケットという見慣れた姿に着替えて経営するお店に行く。

「いってらっしゃい」

ママとパパはそう言ってキスをする。

いつもの光景。

パパは照れる事もなくサラっとする。

ママの方が照れている時がある。

「パパ、あたしも一緒に行っていい？」

「えー、じゃあ着替えなよ」

パパは少し苛立ってあたしを見つめる。

「このままで行きたい。
みんなに見せるの」

私が笑うとパパは小さく

「はいはい…」

と呟いていた。
< 7 / 503 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop