この想いを君に…

other side

総一は出窓から空を見つめていた。

西に傾きかけている月があまりにも綺麗で。

「パパ、どうしたの?」

光や祥太郎と三つ子達は延々と色んな話で盛り上がっていた。

見ていてよく飽きないものだ、と思っていたが。

泰樹がそこから抜け出していつの間にか隣に座っていた。

「月が、綺麗だな、と思って」

「ホントだね」

泰樹は総一を見て、微笑んだ。

「睦海が生まれた時も、こんな風に綺麗な月だったんだよ」

総一の言葉に目を輝かせる泰樹。

「あの時のそーちゃんは神懸かっていたよね〜」

祥太郎も話に入ってくる。

「見たかったなあ」

残念そうにする光はその頃、海外で活躍していた。

「お前達が生まれる何年も前の話だけど。
そーちゃんが全日本で初優勝したレースの日に睦海は生まれたんだよ」

祥太郎は続けて

「あの日の月もこんな感じだった。
俺も覚えてるよ」
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