時の間
警戒してみんな離れてしまったのだろう。




誰ひとりとして彼女から目を離さない。




しかし、近付く者もいない。





そんな中、




(ん??もしかして・・・。)



僕はあることに気がついて、彼女に近付いてみた。




『ちょっと・・・
涼君。やめなよ・・・
あぶないよ・・・』




(僕の勘があってれば・・・
たぶん・・・)




周りの視線が痛い。





『そこの若いの! どいてなっ!!』




(えっ??)




声のしたほうを向いてみると
目の前を大きなボストンバッグが
すっ飛んでいくっ!!



『うわっ!!』



必死の思いで僕は身体を後ろに反らし、
なんとかそれをよけると
そのまま飛んでいった方を見た!!




『・・ま・・・じっ??・・・。』




言葉が続かない。




バッグはその女性に激突!!



女性は吹っ飛ばされ
背中から壁にぶつかり、
膝から崩れ気絶している。



腕はといえば・・・




元通りに治っている。



2本とも真っ直ぐにのび
関節の曲がり具合も問題はない!!




ただ・・・・





驚いたのは、
投げられたこのボストンバッグだ。




『これ・・・浮いてるの??』




いつの間にやら、僕の後ろに来ていた怜香が聞いてきた。



そう。



先程まで腕が
ぐにゃぐにゃに曲がっていた辺りで
バッグは浮いていた。



いや・・・

浮いているという表現は正しいのだろうか・・・。



再びバッグもぐにゃぐにゃに曲がり歪みだす。



< 10 / 48 >

この作品をシェア

pagetop