時の間
(や・・・やばい。)



おそらく、誰しもがそう思っていただろう。





恐れ?・・・怖れ?・・・





どちらとも言えない恐怖が自然と表情に表れる。



その場から逃げようかと思ったその時・・・








ドサッ!!








不意に音がした。




一斉に音のしたほうへと視線が集まる。




一瞬なにが起きたかわからなかったが
違和感だけはあった・・・。





(・・・ん? バッグが・・・。)




バッグが床に落ちている。


きっと床に落ちた時の音だったのだろう。




一見、
すぐにでも気付きそうなものだが、
この異様な雰囲気

・・・警戒心ばかりが先立ち
冷静でいられない。




(ふ~~。いったいなんだったわけよ・・・??)



ぼくは、
ホッとしながらため息一つつき、
脂汗を拭った。




そして、回りを見てみた。




車内一体に安堵の空気が広がっている。


ようやく、この奇妙な現象から開放された。



そう、思った。









そう、思いたかった。




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