時の間
『ぅぁあーーーー-。』





と、叫び声とともに


「ガバッ!!」


と、いきなり僕の両腕に飛び付いてきた。





『ぁ・・っ

・・・ひっ・・・

き・・・きぇ・・・

きぇ・・きぇたの


・・・き・消えたのよっ!!』




『ぅわっ!! 
ちょっ・・・
ちょっと、放して・・・』 




(・・・ん?・・・消えた?)




どういうことだ??




人が一人そっくり消えてしまった
とでもいうのだろうか?




腕が歪み・・・バッグが浮き・・・

・・・次は・・・。




普段なら馬鹿馬鹿しい
と聞き流してしまうところだが、
こんな事態だ。



有り得てもおかしくないと思えてしまう。




(いや・・・ 
ははっ。
・・・まさか・・・そんな・・・。)



『落ち着いてください。
消えたって・・・
・・・どういうことですか??』




『消えたって言ってるでしょ!! 
い・や・・よ・・・。
嫌よ。
もう、こんなの。
・・・なんなのよ。
いったい・・・。』




その女性は、ふらふら立ち上がりそのまま隣の車両へと歩いていった。


ぼくは、
呼び止める事も出来ず
・・・ただ

・・・ただ眺めていた。



結局、はっきりした事は
聞けずわからない。



しかし、一つだけはっきりしている事がある。




倒れていた人は・・・      







・・・消えた。
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