時の間







・・・いない。












・・・だれも。















そこは、誰もいない車両になっていた。


元々誰もいなかった訳ではない。


その証拠に、
よーく見てみると座席の所々には
手荷物らしき物が置かれている。


とくに不可解な事は、
座席の真下に落ちている・・・

・・・ノートパソコンだった。





認めたくない推測が頭を過(よ)ぎる。





おそらく・・・
この現実を目の当たりにした人達も
同じことを考えたに違いない。













全員














消・え・た


と。




















だからこそ、
誰も躊躇して進まなかったんだろう。


入れば、自分も消えるかもしれない。



しかし、
隣で全員消えてしまっているとすると・・・
いつかは・・・ここも・・・。



さらに、緊張感が加速する。



その時、




『涼君・・・。 どう??』




たまらず、怜香が話しかけてくる。



『えっ?? 
どうって言われても・・・
怜香ちゃんも見たんだろ?? 
そのまんまだよ・・・。』



そうとしか、答えようがなかった。



「消えた」

などと口にしたら今起きていることを
認めてしまいそうで怖かった。





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