時の間
ガバッ!!





『涼・・・君??どしたの??』



僕は無意識にその場から立ち上がっていた。




『運転士だよ。
運転士は無事なのか??』


頭に浮かんでいた事を、
思わずそのまま伝えてしう。


『はぁ?? 
運転士??
そ・・・そんなこと知らないよ~。』


当然の答えが返ってくる。


『いい?? 
落ち着いて聞いてよ! 
電車は今も走り続けてるよねぇ?? 
もし・・・もしだよ。
運転士も消えてたら
どうなると思う??』


気をつけても、
声に焦りが乗ってしまう。


『えっ?? 
どうなるって・・・

あっ!!

・・・うそっ!
・・衝突とか
・・・脱線・・・ってこと??』


僕の言いたい事が解ってきたんだろう。

更に、僕は続ける。


『・・・うん。 
駅に一向に着かないのも変だけど、
これだけのことが起きて
騒ぎになってるのに、
一向に止まる気配すらないじゃん!
おかしくない??

普通なら緊急停止するんじゃないかなぁ??
向こうでもなんか
合ったんだと思うんだけど・・・
・・・どう??』



そう言いながら、
運転士がいるはずの方を向く。



『どう??って・・・。
そうかも知れないけど・・・
って、まさか!
行く気じゃないよねぇ??』



怜香が慌てて突っ掛かる。




それもそのはず。



運転士のいるところに行くには、
嫌でもあの無人となった
車両を抜けなければいけない。



それが、どういう意味を指すのか・・・




『・・・だけど、このままほっといて
事故られもしたらそれこそし・・・』




僕は、言葉に詰まった。






「死ぬ」






この言葉を口にしたら、
全てを受け入れてしまう気がした。



消えてしまった人達も
死んだと決まったわけではない。





< 25 / 48 >

この作品をシェア

pagetop