時の間



『ぅぅうわぁああ!!』













僕は、
思わずみっともないほど
叫び声をあげていた。


怜香や西田さんも
驚き慌ててやってくる。




『涼くん、どうしたんだい??』



西田さんが、
床にへたりこんでいる
僕に声を掛けてくる。



『・・・あっ。あっ。あれっ。』



僕は、
声にならないまま
あれを指差した。




『はっ??あれって??』



西田さんは、怜香を僕の傍へ残し
不思議そうな顔をしながら
中を覗きにいく。


そう。
あの人やあいつではない。

もはや、「あれ」なのだ。



『・・・うっ。なんだこれは??』



『えっ??』



僕の横にしゃがみ、
付き添ってくれている怜香が立ち上がる。




『怜香ちゃんは見なくていい。』
『怜香ちゃん!行っちゃっだめだっ!!』



西田さんと僕は、
ほぼ同時に言っていた。



『・・・えっ?・・・でも。

・・・あたしだけ、状況がわからないなんて嫌!!

あたしだって覚悟を決めて、ここまで来たんですっ!!』



そう言うと、
スタスタ運転席を見に行く。



そう言われては、
止める理由はない。




『・・・あっ。』




怜香は、
言葉にならない声を出し
両手で口を覆った。



目には、止まりかけた涙が
また溢れていた。




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