時の間
『「あっ!」 じゃないよ、君。
しっかりしなさい。 
立てるかい??  
この電車止めるんだろ??


さぁ! もう一度行くよ。』




西田さんは、僕の左腕を自分の肩に回し立たせようとする。




『えっ!?   
いや・・・でも・・・。』



ぼくは、完全に逃げ腰だった。


さっきの光景が頭を過ぎる。






『・・・安心しなさい。

・・・中には、私がはいるから。』




『えっ??』



僕は、驚き西田さんの顔を見た。


西田さんは、首を縦に一度振ると優しく微笑む。



『君は入らなくてもいい。

万が一の事があるからね。



入り口付近で見ていてくれ。



まだ、若い君達を危険と解ってやらせる訳にはいかない。


私は、もし消えてしまったとしても

それは妻の元へ行くだけの事。


これほど、うってつけの役はないだろう??


君は、万が一何かあったとき起きた事を残ってる人達に伝えてくれ。』





彼は、本気だろう。



顔からは優しく笑みがこぼれるが、目には決死の決意がにじみ出ている。



僕は、自分を恥じた。




僕は、なんて小さな人間なんだろう。






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