時の間
自分だけ助かればいいのか??
他の人なら犠牲になってもいいのか??



(・・・違う。)


ここに来たのも、あの乗客たちが怖くて逃げてきただけなんじゃないのか??


僕は、また逃げるのか??


(・・・違う。  ・・・違う。)





とんだ臆病者だな。





女の前でばかり恰好つけて、ただのへたれか。





そんなだから、おまえはいつも・・・





(・・・ちがう。・・・ちがう・・・ちがう・・・ちがう・・・ちがう・・・ちがう・・・





・・・だ・・ま・・・れ。






・・・だまれ。  だまれ。 だまれ。







僕は、違う・・・)







『ちがーーーーーーう!!』







『んん!?』
『えっ??』



(・・・はっ!)




西田さんと、怜香の声が聞こえ我に返る。




『・・・涼くん??』


西田さんが、聞いてくる。

当然だ。



『あっ・・・。
いえ・・・、すいません。 

大丈夫です。

・・・西田さん、僕も手伝いますよ。

そのために・・・うん。

そのために、来たんですから。

・・・怜香ちゃん。
ちょっと下がってて。』


決心が鈍らぬように、ドアを睨みつけたまま僕は言う。


ソロソロっと怜香が下がっていくのを
背中で感じなつつ
僕は西田さんの方に近づき
運転席のドアに手を掛けた。





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