時の間
どこか冷たい感じのするアルミといい

枠を何十も打ち抜く鋲といい


どこをどう見ても間違いなくドア。


しかし、

どう言えば伝わるんだろうか。









そう。

ドアの形をした壁のような
気がしてならない。


なぜなら、開かないだけではなく
ドア特有の"ガタガタ"といったがたつき、
開くためのアソビがないのだ。


まるで、ドアの形に削り取られたような一枚の壁のような・・・。










『えっ??』


『いや・・・その・・・
なんというか・・・。
壁っていうか・・・
けど・・・いや、まさか・・・』





言葉に詰まる僕のあとに、西田さんが続く。



『・・・実は、私も少しそう思っていたところなんだよ。
これは、本当に

「ドアなのか??」

って。

けど・・・しかし、いくらなんでもそんなことは・・・。

第一、こんなドアの形をした"壁"で運転士と乗客を分ける、しかもドアノブだけ
玩具みたいに動くなんて、そんな電車は聞いたことがない。』


西田さんは、自分に言い聞かせるように話しながら、だんだん早口になり口調も
荒くなってきた。



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