時の間
『!!』
『?!』


僕と西田さんは互いに目を合わせ、
そして運転席の方を見る。




(進んでない??)




しかし、
景色はどんどん後方へ飛んでいく。

僕の目にはどうしても
進んでいるようにしか見えない。




『怜香ちゃん??
どう見たって進んでるようにしか・・・』




怜香の気を落ち着かせるように西田さんがゆっくり話す。

だが、怜香は引かなかった。




『もっと、しっかりよく見てっ!!
あたしは、しょっちゅうこの電車に乗ってるから景色を覚えてるの!!

間違いないわっ!!』





(景色??)



僕は、サイドの出入口に行き
ガラス窓から外を覗いてみる。


ひたすら続く田舎の山道。


植物の蔦に巻き付かれた電柱が、
何本も目の前を
通り過ぎていくその奥に、
黄金(こがね)色になりかけた
田んぼや畑が永遠に続く。
その所々には瓦ぶきの家も
見受けられる。


しかし、


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