見えない罪と、月
(分かっているんだ、分かっているんだ……でも)


それ以降、セリルは此処の何処かの片隅でその殺し屋に会いたいと願うようになっていた。

理由はただ1つ。イレイス全員の抹消の依頼。そうすれば自分や兄の願っている、

“永住の地を手にし、生き続ける”事も可能なのだ。


(そんな都合の良い事ある訳ないよな)


満月の綺麗な夜、セリルは空を見上げる。その瞬間突然月が消えた。その光景に目を疑うセリル。

もう1度月のあった方を見れば、何事もなかったかのように満月はそこに佇む。


(気の所為……か)


そろそろ部屋に戻ろうとしたセリルは、背後に妙な殺気を感じる。

まさかもうイレイスがやって来たのか?恐る恐る振り向いた。
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