見えない罪と、月
2人は互いに笑いあう。こんな事が出来る事も、2人には幸せな事だからだ。


「セリル」

「何? 兄さん」


食事も終えようかと言う頃にセイルは突然何を思ったのか、


「良からぬ事は考えちゃ駄目だよ?」


セリルに釘をさすかのように言う。セリルは一瞬心臓が飛び出そうになるほどに驚く。

血の繋がった兄だからなのか。弟である自分の考えが大体分かっているのかもしれない。

セリルは平静さを保ちつつも、女の子のような笑顔で“大丈夫”とだけ答えた。


(兄さん、もう勘付いているのかな……? いや、まさか。あんなのんびりした人だし)


部屋に戻ってもなお、セイルの一言の所為でセリルの心臓の高鳴りは治まらない。
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