見えない罪と、月
僅か数分で女性とセイルの格闘する姿を囲うかのように、ギャラリーも増え始める。

誰も何故2人がそんな事をしているかが分かっていない。

集まり出してから2分、セイルからすればもっと長く感じたに違いない。

この騒動を聞いた警察官が駆けつけてくる。その姿を見た女性は、丁度良いと言わんばかりに訴える。


「騒ぎを起こしているのは君達か?」

「丁度良かった! 聞いてよ! この男があたしの下着を……」

「だからそれは誤解だって言っているじゃないですか」

「ん? 君は……犯人確保に協力してくれて有難う」


セイルを見た警察官はそう一言。セイルは話が分かる警察官で良かった、と心の底で安堵する。

セイルとは反対に事情を把握していない女性は訳の分からないといった表情。
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