見えない罪と、月
気にするなと言われても気にしてしまうセイルに、ルシェは話を反らすかのように


「ねえ、もう遅いし夕飯でも一緒にどう? その家族と一緒にさ」


と。ルシェの言葉にはっとなったセイルは外を見る。既に外は橙色。陽が沈みかけている。

もうこんなにも話し込んでしまったのかと、セイルは驚く。


「だったら僕の家にでもどうぞ。きっと支度始めちゃっていると思うから」

「そう? だったらお邪魔しようかな」


ルシェが身支度を終えるのを待ち、ルシェの家を後にする2人。

数分して自宅に戻った時にはカレーの匂いが外からでも伝わってきた。

まるでルシェが来るとでも分かっているようにも感じる。


「では、どうぞ。ルシェさん」


セイルが扉を開けて、ルシェを先に誘導する。
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