見えない罪と、月
雨の降る中、汚れる事も気にせず走り出した2人。

その出口には見慣れた人影があった。そう、ルシェだ。

セイルは喜ぶ訳でも悲しむ訳でもなかった。それが彼女の選択肢だったから。

彼とは正反対にセリルはショックを受ける。まさかセイルが喋っていたとは。


「ルシェさん……良いの?」

「旅行か何かでしょ? 良いに決まっているじゃない」

「いや、そうじゃなくて……」

「話は後で。急ぐよ!」


走り出した3人。セイルは決してルシェの手を放そうとはしない。

途中、初めての銃声が鳴り響く。セイルとセリルの予感は皮肉にも的中してしまった。

それから4発、また銃声が響くも幸い誰にも当たらず無傷。するとセリルが一言。


「兄さん、攻撃仕掛けて良い? 多分相手は1人。銃の弾ももうない筈だし」

「え? 攻撃? 何の事!?」

「駄目。まだ拳銃か銃弾を持っているかもしれないから」


混乱するルシェを放って、セイルは冷静にセリルに答える。
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