見えない罪と、月
ルシェはふっと微笑むが、やはり何も協力が出来ないのは心苦しい。

そこで思い付いたのが食料の調達であった。

森には食べられる木の実や茸が大量にある筈。

食べ物の知識もある程度あると信じている為、毒なのかそうでないかも判断は出来る。


「ねえ、セイル。ちょっと森に行ってくるね。今日のご飯の食材探し」

「駄目だよ。まだこの辺りにイレイスがいるかもしれないし……」

「大丈夫だって!」


森へ行こうとするルシェを、セイルは止めるがルシェは断じてそれを聞こうとはしない。

セリルはそれをただただ見ているだけで、止める事も何もしなかった。

言ったら聞かない性格のルシェは、そのまま外へと出て行ってしまう。


「何で止めなかった!」


セイルはセリルに怒鳴る。セリルはセイルにただ一言を。


「兄さんが励ましても、ルシェさんは心の何処かで邪魔者じゃないかって思っていたんだよ。
邪魔者にならない為には何か行動をしないと……ね?」
< 54 / 97 >

この作品をシェア

pagetop