見えない罪と、月
「……その調子じゃ、ルシェさんは連れて来られなかったみたいだね」

「行かないと……」


セリルのその言葉に、大切な事を思い出したかのように

セイルは無理して立ち上がろうとするが、セリルに制止される。


「そんなんじゃ無理だよ!」

「でも……ルシェが…………」


止めても行きそうなセイルに困ったセリルは咄嗟に、


「俺が探しに行くから! 兄さんは此処で待っていて!」


そう必死になって言った。自分が行って見つけると言えば、

セイルは納得するだろうと思ったのだ。
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