見えない罪と、月
「セリル1人で大丈夫かな……?」

「俺を何だと思っているの。
少なくとも今の兄さんがついて来ても足手まといだし。
ところでルシェさんが何処にいるかとか分かる? どうせイレイスでしょ?
あいつらが消えて行った方向でも良いから分かる事教えて」

「……あっち」


呆れるようにセリルが言えば、セイルはある一定の方角を指差す。

何も言わずにセリルはその方向を確認すると、

落とした明かりを拾ってその方向へと走り出そうとした。その瞬間。


「セリル、待って…………」


セイルに呼び止められる。

あまり猶予がないかもしれないと言うのに、何だと言うのか。
< 62 / 97 >

この作品をシェア

pagetop