見えない罪と、月
セリルは空に浮かぶ月に見守られながら、セイルの指した方向を走る。

急がなければセイルどころかルシェの身も危ないかもしれない。

休む暇もなくただただ走り続けるセリル。

走り続けた結果、遺跡のような場所に辿り着く。

床には魔法陣のような文様が描かれている。

そしてそれを囲うかのように白い柱が幾つもあった。

中には折れた物も幾つも点在する。その白さは今の黒い景色によく映える。

こんな場所があったのかとセリルは驚いた半面、

折れた柱に腰掛ける人物と、その周りにいる3~4人の男がいる事に気付く。

その中の内の1人が誰かを捕まえている。……ルシェだった。


「ルシェさん!」


躊躇う事もなくセリルは叫んでいた。
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