見えない罪と、月
逆にセリルは納得がいかなかった。

さっき自分が依頼したのに、ヒジリは殺さなかった。それが納得いかずにいた。


「何で……っ! 俺は依頼したのに」

「悪いが、俺は人間の欲望だけで人殺しはしないから」

「依頼者だって欲望だけじゃないか!」


反論するセリル。ヒジリはその反論を無視して、自身の標的を探し出す。

その行動に先程まで忘れていた事をセリルは思い出した。

……ヒジリは明らかにルシェを狙っている。ヒジリを止めなくては。


「駄目って…………!?」


セリルは見つけてしまった。逃げろと言った筈なのに、ルシェがそこにいたのだ。
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