見えない罪と、月
「良かった……セリル君、生きていた。
セイルがいるって言うから探したのに、何処にもいなくて。
その時に銃声が聞こえたからセリル君が死んだんじゃないかって……」


腰を抜かして泣き出すルシェ。セリルは傍へと駆け寄る。

ヒジリはセリルのその行動を見て、ルシェがそこにいる事を知り近付く。


「ルシェさん……お願い、今は逃げて!」

「見つけた……」


ヒジリはルシェの存在を確認するとふっと笑みを浮かべた。

セリルはルシェを自分の後ろの隠すように庇う。


「本当にこの人だけはやめて! 代わりに俺の命で我慢してよ」

「セリル君……!? どういう事なの!」


セリルの後ろからひょっこりと顔を出すルシェ。

そこにいた銀の瞳の男を見た彼女は何処か幸せそうな顔をする。
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