見えない罪と、月
数年前、セイルはイレイスの追ってから逃げる途中でセリルとはぐれた。

セリルを探す事に必死になっていたセイルは、背後から銃で撃たれてしまう。

流れる血の量は死に至らしめるには十分な量であった。

セイルは死に際にふとこんな事を思った。

何故自分達ばかりこんな目に遭わなければならないのか。

まだセリル1人を残しては死ねない。

自分が死んでしまったら、誰がセリルを守るのかと。

それはとても強いものであった。

その感情が天にまで伝わったのか、セイルは神の元にいた。

神はセイルに告げる。まだ生きたいのなら、条件付きで生き返らせると。

その条件は“死神となって、神が指示した人間を殺す事”だった。

聞こえは悪いが、簡単に言えば寿命の人間を神の元へと送り届ける事である。

それは死神は長きにわたり不在であったが為に言える条件。

セイルは迷う事なくそれを受け入れた。神の元へ向かわせる仕事ならば、と。
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