そして海の思い出を胸に

「私ね……ずっと思ってたの。あの時、私がもっと早くモーターボートに乗っていれば、僚二だって一緒に乗ってた筈……そうすれば、僚二はこんな事にはなっていなかった」

私、視線は海だけど、遠いあの日を思い出していた。



「でもね……誰も、私を責めないの。僚二のお父さんとお母さんでさえも、逆に『美雪ちゃんが無事で良かった』って、泣いて私を抱きしめて……」



視界がじんわりと滲んでくる。

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