そして海の思い出を胸に

私は、心も体も固まったままだった。



しばらくして、やっと動いた手で、そっと唇に触れる。





キス……された?





そう自覚したとたん、涙が溢れてきた。

決して不快だったからの涙ではなかった。

むしろ、不快に感じなかった自分への涙だった。

< 178 / 247 >

この作品をシェア

pagetop