そして海の思い出を胸に
なんなんだろう?
……本当はあの夏の日。
『涼ともう会えないかも』と思った時に、泣きたかったのかもしれない。
ずっとずっと気付かないフリして、我慢していたのかもしれない。
──目の前から、大事な人が突然居なくなる事。──
それは、私にとってはトラウマだったから……。
やっぱり、嬉しいから……なのかな、この涙の訳は……。
「頼むから、もう泣くなよ」
急に涼が沈黙を破った。
思わず涼の方を見る。