そして海の思い出を胸に
「私の名前、どうかしましたか?」



「えっ? いや」

そう言ってから、クスッと笑った。



「いや、おもしろいと思って」

「えっ?」

「だって、冬の雪見、でしょ?」



どうして、そう単純な発想になるのかなぁ。



「言っておきますけど、東西南北の『東』に、野原の『野』……で、美しい雪、ですよ」



するとまた、クスッと笑う。

「でも、冬生まれでしょ?」



「ええ、まぁ」

だから、『ユキ』は『雪』の字を付けられたのよね。

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