そして海の思い出を胸に
「美雪―!」

合宿所の方からお兄ちゃんの声がして、そっちを見る。



でも、今度は横で涼さんが立った気配がして、再び涼さんへ視線を戻す。



「涼さん」
「自主練するんだろう? 体育館空いたぞっ!」



お兄ちゃんの再びの呼び掛けに、私の声はかき消される。



「今、行くー!」

私も立ってお兄ちゃんの方へ叫ぶ。



「……彼氏?」

涼さんはそう言って、親指でお兄ちゃんの方を差した。



「私のお兄ちゃん」


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