そして海の思い出を胸に

「言ったろ? 俺、惚れてる女の子に、つい意地悪したくなっちゃうんだよなぁ」



涼はそう言ったけど……。



私、分かってしまった。

本当に意地悪だったら、あんな風に頭を撫でてくれたりしないよ。



「……涼の、バカ……」

思わず、泣き過ぎて鼻声のまんま、小さく呟いた。



「ん? バカ、ってなんだよ。でも、鼻声だけど『涼』って呼んでくれたから、許す」

明るくそう言う、涼。



「何よ、『許す』とか、偉そうに」

ちょっと毒吐きモードで、私は言った。



けど。


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