そして海の思い出を胸に
「うん。……そうだよ、ね」
そうだよ。
それは知ってるんだけど……あんなに似てるんだもん。
「疲れ、取れた?」
急にお兄ちゃんは話題を変えた。
「うん。まぁまぁ」
「体育館、自由開放していてさっき見たら誰も使ってなかったぞ。ちょっと、練習するか?」
「うん、するする。行こう、お兄ちゃん」
じっとしていると、余計な事を考えちゃうから……。
そんな時は、体を動かそう。
私は立つとすぐ、お兄ちゃんの手を引っ張って体育館へと向かった。