空より青く、海より青く。
「…この世の中に、『偶然』というものは…ないらしいよ」
店長はテーブルに寄り掛かり、腕を組んだ。
「すべて『必然』。起こるべくして起こってるんだそうだ。
俺がここで店をやっているのも、海都君がここでアルバイトを始めたのも。」
店長のたくましい腕に、細いブレスレットが見えた。
「海都君と彼女が別れたのは、もっと…もっと強い絆で結ばれるためだったんだろうね。
伝えられる相手がいるんだ。男らしく…ぶつかってこい!」
「はい!」
その夜、俺は美空に電話をした。
「…もしもし?」
「もしもし、美空?俺だけど」
夜遅かったせいか、美空は眠そうな声を出した。
「うん。お仕事お疲れさま〜」
「サンキュ。あ…アレさぁ、あの…菜摘から連絡、きた?」
我ながら嘘をつくのは下手だな、と思いながら、強引に話を進める。
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