空より青く、海より青く。
「いわゆる『できちゃった婚』でな、まだ結婚指輪も用意できていなかった。唯一、かみさんに昔プレゼントしたこれが、形見になっちまったんだ」
店長は、遠い目をした。
「……出産時のトラブルで、な。かみさんも、お腹の中の男の子も、俺は一緒に失ったんだ…」
俺は、なんて言っていいかわからなかった。
見たことのない、哀しそうな店長の横顔。
大切な人を一生失う哀しみは、はかりしれないものなんだろう。
「でも、それも必然だったんだよ、海都君。息子は…生きていれば君と同い年。
君と巡り逢うためだったのかもしれない」
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