空より青く、海より青く。





混雑した市役所の中は、暖房と人の熱気で暑いくらいだった。



俺は店長に教わった通り、住民票をもらうために住所や名前を用紙に記入した。



印鑑を押し、受付に用紙を提出すると、年配のおばちゃんがメガネをずり上げて「お待ちください」と言った。





かなりの数の人が待っていて、俺の番が回って来たのはそれから30分ほど後だった。



「高崎さん。高崎海都さん」



「はい」





呼ばれた声の方に行くと、さっきのおばちゃんが笑顔もなく資料を見比べている。



「高崎さん、あの…住所が違うようですが」



「え?」






俺はアパートの住所を用紙に書いたが、

どうやら俺の住民票は、今まで住んでいたばーちゃんの家の住所のままになっているらしい。








.:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:.
< 81 / 141 >

この作品をシェア

pagetop