空より青く、海より青く。
混雑した市役所の中は、暖房と人の熱気で暑いくらいだった。
俺は店長に教わった通り、住民票をもらうために住所や名前を用紙に記入した。
印鑑を押し、受付に用紙を提出すると、年配のおばちゃんがメガネをずり上げて「お待ちください」と言った。
かなりの数の人が待っていて、俺の番が回って来たのはそれから30分ほど後だった。
「高崎さん。高崎海都さん」
「はい」
呼ばれた声の方に行くと、さっきのおばちゃんが笑顔もなく資料を見比べている。
「高崎さん、あの…住所が違うようですが」
「え?」
俺はアパートの住所を用紙に書いたが、
どうやら俺の住民票は、今まで住んでいたばーちゃんの家の住所のままになっているらしい。
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