空より青く、海より青く。
「それではですね…住所移転の用紙にも記入していただきたいのですが」
「あ…はい」
おばちゃんが差し出した用紙に、言われた通りに記入する。
「まずここには、前の住所を……そう、それですね。で、ここには新しい住所を…」
おばちゃんは左手に持った資料を見ながら、俺に書き方を教えてくれる。
ふと、おばちゃんの左手の中の資料が目に入った。
――え…?
「あっ、あの!すいません、それ…何ですか!?」
「え?」
「それっ!その、左手に持ってる紙…何ですか!?」
「あぁ…これは戸籍謄本ですが」
戸籍…謄本。
「それ…それください!!」
俺は周りの人が振り向くくらいの大声で叫んでいた。
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