空より青く、海より青く。



「…なんだ、海都か。久しぶりだな。
どうした?一年の終わりに挨拶でもしにきたか?」



ヒゲ面の男は自分のヒゲを触りながらニヤニヤと笑う。



「…誠二おじさん。尋きたいことがあるんだ」







誠二おじさん……俺達の父さんの弟は、自分のヒゲを触る手を止め、睨むように俺を見た。



「…まぁ、あがれよ」



誠二おじさんは俺に背を向け、玄関の中へと姿を消して行った。



俺も後に続いて、家の中に入る。










玄関に入ってすぐ……懐かしい匂いがした。



昔ながらの、木の匂い。



この匂いの中で、俺と美空は一緒に成長してきた。



誠二おじさんによってインテリアはほぼすべて変えられていたけど、



この匂いだけは変わっていなくて、なんだか安心した。








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