空より青く、海より青く。



「お前のこと、絶対『父親』だなんて思わない!!」



怒りで震える身体を抑えながら俺は叫んだ。



誠二おじさんは床に手をつき、切れた唇を手の甲で拭いながら、睨むように俺を見ている。



ヒゲが生えた口元が、ニヤッと笑った。



「安心しろ。俺だってお前のこと、息子だなんて思っちゃいねぇよ」



誠二おじさんは立ち上がり、俺に背を向けて部屋の奥へと去ろうとした。






途中、姿が消えるか消えないかのところで、誠二おじさんは部屋に立ち尽くしたままの俺を振り返って、

俺に殴られた左頬に触れながら、



「…こんな力があるくらい、デカくなったんだな…」



そう言って、俺に、


初めて優しい目をして微笑んだ。











…親父。



心の中で、そう呼んだ。










俺にとっての『父さん』は、育ててくれた父さん以外、誰もいない。



でも、俺の中には間違いなく、コイツの…誠二おじさんの遺伝子が存在してる。









…親父。



そう呼べる日が、いつかは来るのかもしれない。







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